この記事の要点
・建築基準法に、フェンスの高さを直接定めた条文はない
・「2mを超えると違法」という説明には、建築基準法上の直接の根拠がない
・ただし擁壁・建物に附属する塀・自治体の条例・民法は別の話。ここを混同した説明が多い
「目隠しフェンスは2mまで」「2mを超えると違法」という説明をよく見かけます。
結論から書くと、建築基準法にフェンスの高さを直接定めた条文はありません。ただし「何mでも自由」でもありません。混同されやすい部分を、条文に当たって切り分けます。
フェンスの高さを定めた法律はありますか?
建築基準法には、直接定めた条文がありません。
高さの数字が出てくるのは、次の2つの条文です。どちらも特定の工法に向けたもので、建築物に適用する節にあります(施行令第51条・第62条の2)。建物に附属する塀は建築物に含まれます(建築基準法第2条第1号)。
条文 | 対象 | 高さ |
|---|---|---|
施行令 第61条 | 組積造(レンガ・石など) | 1.2m以下 |
施行令 第62条の8 | 補強コンクリートブロック造 | 2.2m以下(ただし書きあり) |
アルミフェンスや樹脂フェンスは、どちらの対象でもありません。積んで作るものではないからです。
なお第62条の8には「国土交通大臣が定める基準に従つた構造計算によつて構造耐力上安全であることが確かめられた場合においては、この限りでない」というただし書きがあります。第62条の8が定める補強コンクリートブロック造の塀の2.2mは、条件つきの上限です。
出典: 建築基準法施行令(e-Gov法令検索) 第61条・第62条の8
「2mを超えると確認申請が必要」は本当ですか?
塀やフェンスについては、この説明に直接の根拠がありません。
煙突や擁壁のような工作物のうち、建築基準法第88条第1項で確認申請の規定が準用されるものは、施行令第138条第1項が列挙しています。中身は次の5つです(鉄道の線路敷地内の運転保安に関するものなど、国土交通大臣が指定するものは除かれます)。
工作物 | 対象になる高さ |
|---|---|
煙突 | 6mを超えるもの(ストーブの煙突を除く) |
鉄筋コンクリート造の柱・鉄柱・木柱など | 15mを超えるもの(旗ざおを除く) |
広告塔・広告板・装飾塔・記念塔など | 4mを超えるもの |
高架水槽・サイロ・物見塔など | 8mを超えるもの |
擁壁 | 2mを超えるもの |
塀もフェンスも、この列挙に入っていません。「2m」という数字が出てくるのは擁壁だけです。

出典: 建築基準法施行令(e-Gov法令検索) 第138条第1項
2mを超える擁壁は、どこでも確認申請が要りますか?
いいえ。区域の限定があり、ほかの法律の許可を受ける擁壁も外れます。
法第88条第1項は、擁壁などの工作物への第6条の準用を「同項第三号の建築物に係る部分に限る」としています。第6条第1項第三号が挙げるのは、都市計画区域・準都市計画区域(知事が指定する一部の区域を除く)などの区域内の建築物です。
また法第88条第4項は、宅地造成及び特定盛土等規制法や都市計画法などの規定による許可を受けなければならない場合の擁壁には、第6条などの準用を適用しないとしています。
出典: 建築基準法(e-Gov法令検索) 第6条第1項・第88条第1項・第4項
では何mでも自由に建てられますか?
いいえ。別の制約が4つあります。「建築基準法に条文が無い」ことと「制約が無い」ことは違います。
土を留めるなら擁壁の話になる
横浜市の「擁壁のはなし」は、擁壁を「高低差のある宅地や斜面地などで土砂が崩れるのを防ぐために設ける」ものと説明しています。フェンスや塀の下で土を留めている部分は、この説明に当てはまりえます。擁壁なら高さ2mを超えるものが施行令第138条第1項の工作物です。
建物に附属していれば「建築物」になる
建築基準法第2条第1号は、建築物の定義に「これに附属する門若しくは塀」を含めています。建物に附属する塀は、工作物の列挙とは別に、建築物の側で扱われます。確認申請の扱いは塀に建築確認申請は必要? 条文で確かめるにまとめました。
自治体の条例・地区計画・建築協定
景観地区や風致地区、地区計画のある区域では、塀の高さや素材が定められていることがあります。法律に無くても、地域のルールで制限されている場合があります。
民法上のトラブル
隣地の日照や通風を大きく損なうと、私法上の争いになることがあります。逆に民法第235条第1項は、境界線から1m未満の距離に、他人の宅地を見通せる窓または縁側(ベランダを含む)を設ける者に、目隠しを付けることを求めています。ただし同法第236条により、これと異なる慣習があるときは、その慣習に従います。
実際には何mにするのが現実的ですか?
目隠しが目的なら、1.8m前後で足りることが多いです。産業技術総合研究所「AIST人体寸法データベース1991-92」では、立った目の高さ(裸に近い状態で床から目頭まで)の平均は18〜29歳の男性で約1.60m、女性で約1.48mです。18〜29歳の男性でも95%は1.7m以下なので、地面の高さが同じなら、1.8mの塀で立っている人のほとんどからは中が見えません。
それでも足りないのは、視線が上から来るときです。隣家の2階の床を地面から3m前後とすると、そこに立つ人の目は4m以上で、斜めに入る視線は2.2mでも遮りきれないことがあります。
M Art Wall は発泡素材を芯材にした特殊発泡構造物で、重さがコンクリートとまったく違うため、敷地条件によりますが、高さ3mまでの意匠塀に対応しています。
一方で、高くするほど敷地の中も外から見えにくくなります。防犯との兼ね合いは目隠し塀と防犯、見通しはどう確保する?にまとめました。
よくある質問
目隠しフェンスを2m以上にすると違法ですか?
建築基準法にフェンスの高さを直接定めた条文はありません。施行令第61条と第62条の8は、それぞれ建築物の組積造・補強コンクリートブロック造の部分に適用する節の規定で(同令第51条・第62条の2)、アルミフェンスはどちらの対象でもありません。ただし擁壁に当たる場合、建物に附属する塀の場合(建築基準法第2条第1号で建築物に含まれます)、自治体の条例で制限がある場合は別です。
2mを超える塀に確認申請は必要ですか?
塀は、建築基準法施行令第138条第1項が列挙する工作物に含まれていません。列挙されているのは6m超の煙突(ストーブの煙突を除く)、15m超の柱(旗ざおを除く)、4m超の広告塔など、8m超の高架水槽など、そして2m超の擁壁です。土を留めている部分が擁壁に当たるなら、高さ2m超で対象になりえます(区域と、ほかの法律の許可が要るかどうかで変わります)。建物に附属する塀は建築物に含まれるので、この列挙とは別の話です。
フェンスが擁壁に当たるのはどんな場合ですか?
土を留める役割を持つ場合です。横浜市は擁壁を、高低差のある宅地や斜面地などで土砂が崩れるのを防ぐために設けるものと説明しています。擁壁の高さが2mを超えると確認申請の対象になりえます。区域や、宅地造成及び特定盛土等規制法などの許可が要るかどうかで変わります。
自治体の条例で高さが決まっていることはありますか?
あります。景観地区、風致地区、地区計画のある区域では、塀の高さや素材が定められていることがあります。建築協定が結ばれている住宅地でも同様です。事前に市区町村へご確認ください。
目隠しには何mのフェンスが必要ですか?
地面の高さが同じで、正面からの視線を遮るだけなら1.8m前後で足りることが多いです。産業技術総合研究所「AIST人体寸法データベース1991-92」では、18〜29歳の男性でも95%が、立った目の高さ1.7m以下だからです。隣家の2階から見下ろされる場合は視線が斜めに入るため、2.2mでも足りないことがあります。
まとめ
- 建築基準法に、フェンスの高さを直接定めた条文は無い
- 「2m」が出てくるのは擁壁の確認申請。塀やフェンスではない
- ただし土を留める部分は擁壁の話になり、2m超で申請が要ることがある(区域や、ほかの法律の許可が要るかどうかで変わる)
- 建物に附属する塀は、建築物として扱われる
- 自治体の条例・地区計画・建築協定は別にある
ご自身の敷地でどこまでの高さが取れるかは、高低差や地域のルールによって変わります。図面や現地の写真があれば、一緒に確かめられます。設置できるか・どんな意匠にできるか、まずご相談ください。ご相談は無料です。

