「3mくらいの塀が欲しい」というご相談をいただくことがあります。隣家の2階から庭が丸見えだったり、道路との高低差で視線が入り込んだり、理由はさまざまです。
結論から言うと、ふつうに建てるなら、ブロック塀で3mは無理です。法律が定める仕様の上限が2.2mで、そこまで届いていないためです。構造計算で安全を確かめれば超えられる道もありますが、住宅の外構で採られることはまずありません。
この記事の要点
・仕様規定に沿うなら、ブロック塀は2.2mまで。3mは建てられない
・ただし条文にはただし書きがあり、構造計算で安全を示せば超えられる
・制約は高さではなく重さの側にある。軽い構造なら前提が変わる
ブロック塀で3mの塀は建てられますか?
ふつうに建てるなら無理です。仕様規定の上限が2.2mで、3mはこれを80cm近く超えます。構造計算で安全を確かめれば超えられますが、住宅の外構では現実的な選択肢になりません。
建築基準法施行令の第62条の8で、補強コンクリートブロック造の塀は地盤面からの高さが2.2mまでと定められています。3mはこの上限を80cm近く超えています。
ただし、この2.2mには例外があります。同じ条文の柱書に、こう書かれています。
ただし、国土交通大臣が定める基準に従つた構造計算によつて構造耐力上安全であることが確かめられた場合においては、この限りでない。
つまり2.2mは、仕様規定に沿って建てる場合の上限です。構造計算で安全性を確かめれば、それを超えることもできます。
とはいえ、住宅の外構でこの方法が採られることはまずありません。構造設計者への依頼が必要になり、基礎も相応に大きくなるためです。出典: 建築基準法施行令 第62条の8(e-Gov法令検索)
なぜ2.2mで止まるのですか?
重さがあるためです。ブロック塀は数トンの構造物になり、高くするほど地震や強風で倒れたときの被害が大きくなります。
理由は重さです。
コンクリートブロックは1個あたりでもそれなりの重量があり、それを積み上げた塀は数トンの構造物になります。高くするほど、地震や強風で倒れたときの被害が大きくなります。
だから法律は、高さを上げるなら支えを増やしなさい、厚くしなさい、という条件をつけています。高さ1.2mを超えれば控え壁が必要になり、2.0mを超えれば厚さが15cm以上必要になる。そして2.2mでいったん打ち止めになります。
2018年の大阪府北部地震で塀の倒壊事故が起きて以降、この考え方はさらに重く受け止められるようになりました。上限は、安全側に振った線引きです。

2.2mでは足りないのはどんな場面ですか?
視線が上から来るときです。隣家の2階から見下ろされる、敷地が道路より低い、背後に高い建物が建った、といった場合は斜めに視線が入るため、2.2mでは遮りきれません。
2.2mは、道路を歩く人の視線を遮るには十分な高さです。多くの住宅ではこれで用が足ります。
足りなくなるのは、視線が上から来るときです。
- 隣家の2階の窓から庭が見下ろせる
- 敷地が道路より低く、通行人の目線が高い位置にある
- 背後に高い建物が建った
- 店舗や施設で、裏手の設備を隠したい
上から見下ろされる場合、塀の高さは効きにくくなります。視線が斜めに入ってくるので、遮るには高さが余分に要ります。2.2mで届かないのはこういう場面です。

3mの高さはどうすれば実現できますか?
方法は2つです。塀の上にフェンスを載せて高さを稼ぐか、塀そのものを軽い構造にするかです。
方法 | 高さ | 見た目 |
|---|---|---|
塀の上にフェンスを載せる | 稼げることがある | 上下で素材と表情が分かれる |
塀そのものを軽い構造にする | 前提が変わる | 1枚の意匠として通せる |
塀とフェンスを積む
下をブロック塀、その上にアルミフェンスや格子を載せる方法です。工法が変わる部分は別の規定で扱われるので、合計の高さを稼げることがあります。
ただし、上下で素材と表情が変わります。目隠しとしては機能しても、意匠として一体には見えません。門まわりや店舗の顔になる場所には選びにくい方法です。
軽い構造の塀にする
もうひとつが、塀そのものを軽い構造にする方法です。
2.2mという上限は、コンクリートブロックという重い材料を前提にした数字です。前提が変われば、制約のかかり方も変わります。
M Art Wall は、発泡素材を芯材にした特殊発泡構造物です。見た目の厚みや重厚感はそのままに、重さがコンクリートとはまったく違います。この軽さがあるので、ブロック塀では届かない高さの意匠塀をつくれます。
上下で表情が分かれることもありません。3mの高さを、1枚の意匠として通せます。
高さを決める前に何を確かめるべきですか?
遮りたい視線がどこから来るか、内側から見た圧迫感をどこまで許容できるか、敷地のどこに立てるかの3点です。
高さは、数字だけで決めると後悔しやすい部分です。次の3点を先に確かめておくと、判断が具体的になります。
遮りたい視線がどこから来るか
正面からなのか、上からなのか。上からなら、必要な高さは想像より大きくなります。隣家の窓の位置と、自分の敷地までの距離を測っておくと計算できます。
圧迫感をどこまで許容できるか
3mの塀は、内側から見るとかなりの存在感があります。庭全体を囲うのか、視線が気になる面だけにするのか。部分的に高くするほうが、住み心地は良くなることが多いです。
敷地のどこに立てるか
塀は基礎の分だけ敷地を使います。高さが上がれば基礎も大きくなります。境界ぎりぎりに計画していると、成り立たないことがあります。
よくある質問
高さ3mのブロック塀は建てられますか?
仕様規定に沿って建てる限りはできません。建築基準法施行令 第62条の8 が高さを2.2m以下と定めているためです。構造計算で安全を確かめれば超えられますが、住宅の外構で採られることはまずありません。
なぜ2.2mが上限なのですか?
重さがあるためです。ブロック塀は数トンの構造物になり、高くするほど地震や強風で倒れたときの被害が大きくなります。だから法律は高さを上げるなら支えと厚みで受け止めるよう求め、2.2mで打ち止めにしています。
2.2mでは足りないのはどんな場面ですか?
視線が上から来るときです。隣家の2階の窓から見下ろされる、敷地が道路より低い、背後に高い建物が建った、といった場合は斜めに視線が入るため、2.2mでは遮りきれないことがあります。
塀の上にフェンスを載せれば高くできますか?
できる場合があります。工法が変わる部分は別の規定で扱われるため、合計の高さを稼げることがあります。ただし上下で素材と表情が分かれるので、意匠を重視する場所には選びにくい方法です。
まとめ
3mの塀は、ふつうのブロック塀では届きません。構造計算という道はありますが、外構で現実的な選択肢になることはまずありません。軽い構造を選べば、その手前で実現できます。制約は高さそのものではなく、重さの側にあるからです。
どのくらいの高さが必要かは、視線がどこから来るかで決まります。現地の写真や、隣家との位置関係がわかる図面があれば、必要な高さを一緒に考えられます。設置できるか・どんな意匠にできるか、まずご相談ください。ご相談は無料です。

