設置可否・デザインのご相談を承ります / 受付 9:00〜17:00(土日定休)

既存不適格のブロック塀は直すべき?

既存不適格のブロック塀は直すべき?

古い塀を既存不適格だと言われたとき、知りたいのは直すべきかどうかでしょう。既存不適格は「放っておいてよい」という意味ではありません。

この記事の要点
・第3条第2項は現行の規定を「適用しない」だけで、適合したことにはなりません
・違反している建築物とは条文の作りが別で、既存不適格にも指導・助言と命令があります
・大規模でない修繕は第3条第3項第3号に入りません

既存不適格のブロック塀とは?

規定ができたとき、または変わったときに既にあって、その規定に合っていない塀です。建築基準法第3条第2項が「当該規定は、適用しない」と定めています。適用されないだけで、適合したことにはなりません。

2 この法律又はこれに基づく命令若しくは条例の規定の施行又は適用の際現に存する建築物若しくはその敷地又は現に建築、修繕若しくは模様替の工事中の建築物若しくはその敷地がこれらの規定に適合せず、又はこれらの規定に適合しない部分を有する場合においては、当該建築物、建築物の敷地又は建築物若しくはその敷地の部分に対しては、当該規定は、適用しない。

適用されないのは、合っていない規定と部分だけです。条文が「建築物若しくはその敷地の部分」と書いているためです。法第8条第1項の維持保全の努力義務も残ります。

違反している塀とはどう違う?

当時の規定を守っていたかどうかで分かれます。第3条第3項第1号は、規定が変わった時点で既に従前の規定に違反していたものに第3条第2項を適用しません。古いから既存不適格になるのではありません。国土交通省「既存建築物の緩和措置に関する解説集(第3版)」(令和7年11月)にもこうあります。

なお、この既存建築物の緩和は、建築基準法の規定ごとに措置されています。したがって、当該緩和措置は、既存不適格である規定についてのみ適用がされ、違反している規定については適用されません。

条文の作りも別です。

項目

違反している塀

既存不適格の塀

根拠の条

法第9条第1項

法第9条の4/法第10条第3項

対象の限定

括弧書きなし(規定や許可条件に違反した建築物)

「第三条第二項の規定により…適用を受けないものに限る」

打てる手

工事の停止、除却その他の是正命令

指導・助言/命令

命令違反の罰則

法第98条第1項第1号

法第99条第1項第4号

罰則が及ぶのは命令に違反したときで、既存不適格であること自体ではありません。法第10条第4項が法第9条の手続を準用しており、従わないときの手続は同じです。

建築時に規定へ適合していれば後の改正で既存不適格になり、当時から違反していれば改正後も違反のまま。どちらにも命令は及びうる。
建築時に規定へ適合していれば後の改正で既存不適格になり、当時から違反していれば改正後も違反のまま。どちらにも命令は及びうる。

いつの基準から不適格になる?

規定が変わった日が境で、その日に現にあった塀には新しい規定が適用されません。塀の構造を定めた施行令第62条の8は昭和45年政令第333号で置かれ、昭和55年政令第196号で数値が変わりました。施行日は昭和46年1月1日と昭和56年6月1日で、e-Govの附則で確かめられます。

施行日

高さの上限

控壁の間隔

昭和46年1月1日

3m以下

長さ3.2m以下ごと

昭和56年6月1日

2.2m以下

長さ3.4m以下ごと

現在

2.2m以下

長さ3.4m以下ごと

数値は文部科学省の参考資料(ブロック塀等安全対策事業 参考資料4-3、令和元年度)と薩摩川内市建築住宅課の改正履歴で一致を確かめました。この2つの政令の附則に、塀についての経過措置は置かれていません。築年は、どの規定が適用されるかの話であって、基準を満たしているかの話ではありません。昭和46年より前の塀に第62条の8は適用されません。

直さずにそのままでよい?

よい、とは言えません。既存不適格を名指しした法第9条の4の要件には「著しく」が付きません。

第九条の四 特定行政庁は、建築物の敷地、構造又は建築設備(いずれも第三条第二項の規定により次章の規定又はこれに基づく命令若しくは条例の規定の適用を受けないものに限る。)について、損傷、腐食その他の劣化が生じ、そのまま放置すれば保安上危険となり、又は衛生上有害となるおそれがあると認める場合においては、当該建築物又はその敷地の所有者、管理者又は占有者に対して、修繕、防腐措置その他当該建築物又はその敷地の維持保全に関し必要な指導及び助言をすることができる。

対象になる建築物に絞りが無いのも効きます。法第10条第1項の勧告は法第6条第1項第1号の建築物と施行令第14条の2が定める建築物に限られますが、法第9条の4と法第10条第3項にその絞りはありません。著しく保安上危険と認められれば、法第10条第3項の命令が一般の建築物に及びます。

民法第717条第1項は、土地の工作物の設置または保存に瑕疵があって他人に損害が生じたときの賠償責任を定めています。既存不適格でも、この責任は軽くなりません。

第3条第2項で適用されないのは合っていない規定と部分だけ。大規模の修繕等で外れ、そのままでも命令は届く。
第3条第2項で適用されないのは合っていない規定と部分だけ。大規模の修繕等で外れ、そのままでも命令は届く。

直すと今の基準に合わせることになる?

工事の種類によります。第3条第2項の適用除外が外れるのは、第3条第3項第3号が挙げる増築・改築・移転・大規模の修繕・大規模の模様替の五つです。大規模でない修繕と模様替は、この号に入っていません。

五つに当たっても終わりではありません。法第86条の7第1項は、政令で定める範囲内なら「第三条第三項…の規定にかかわらず、これらの規定は、適用しない」としており、構造耐力(法第20条)についての範囲を定めたのが施行令第137条の12第1項です。

第百三十七条の十二 法第三条第二項の規定により法第二十条の規定の適用を受けない建築物についての法第八十六条の七第一項の政令で定める範囲は、大規模の修繕又は大規模の模様替については、当該建築物における当該建築物の構造耐力上の危険性を増大させない全ての大規模の修繕又は大規模の模様替とする。

範囲が「全ての」なので、面積の要件も割合の要件もありません。逆に第3条第3項第5号は、規定に適合するに至った建築物を第3条第2項の対象から外します。適合したかは施行令第62条の8の各号を満たしたかで決まり、手を入れたこと自体では決まりません。

一部だけ直しても全体が対象になる?

「大規模の修繕」に当たらなければ、第3条第3項第3号には入りません。法第2条第14号は、大規模の修繕を「建築物の主要構造部の一種以上について行う過半の修繕」と定めています。塀について何が主要構造部(法第2条第5号)で、何が過半かを示した公的な判断例は見つかりませんでした。

国土交通省の技術的助言(令和7年3月26日付 国住指第517号)が危険性を増大させない例として挙げる3類型も、屋根、木造建築物の耐力要素、構造計算等による検証で、塀の例は一つもありません。どこからが大規模かは、所管の特定行政庁に確認してください。

よくある質問

既存不適格のブロック塀は違法ですか?

違法ではありません。ただし法第9条の4の指導・助言と、法第10条第3項の命令の対象にはなります。罰則は命令に違反したときです。

昭和56年より前の塀は全部だめですか?

そうは言えません。昭和56年6月1日は施行令第62条の8の数値が変わった日で、塀の良し悪しの線ではありません。その日より前の塀がいまの各号を満たしていることもあります。

独立した塀も既存不適格ですか?

第3条第2項は建築物とその敷地についての規定で、建物に附属しない独立の塀は建築物に当たらず、施行令第138条第1項が指定する工作物にも入っていません。ただし土留めを兼ねて高さ2mを超える擁壁に当たる場合は、同項第五号に入ります。

耐震診断の義務はありますか?

一般の住宅の塀は、対象外になるよう制度が設計されています。国土交通省の資料は対象となる塀を、倒壊すると避難路の過半をふさぐおそれのある組積造の塀のうち、前面道路中心線からの距離の1/2.5倍を超える高さで、かつ25mを超える長さのもの(いずれも地方公共団体が別途規定可能)としています。義務が無いことと放置してよいことは別です。

まとめ

既存不適格は、いまの規定を「適用しない」という状態で、適合したことにも直す義務が消えたことにもなりません。大規模でない修繕なら第3条第3項第3号には入りませんが、法第9条の4の指導・助言と法第10条第3項の命令は既存不適格を名指ししています。

M Art Wall は軽い意匠の塀の製造・販売元で、点検や補強は請け負っていません。作り替える段になったら、どんな意匠にできるかをまずご相談ください(ご相談は無料です)。

あわせて読みたい

CONTACT

M Art Wall のご相談はお気軽に

全国で M Art Wall(発泡素材の意匠塀)の導入をご検討の方へ。
設置できるか・どんなデザインが可能か——まずはお気軽にご相談ください。ご相談は無料です。

※デザインイメージ