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塀の苔と白華は落とせる? 見分け方と次に見る所

塀の苔と白華は落とせる? 見分け方と次に見る所

塀に緑色の汚れが広がったり、白い粉が浮いたりすると、気になるのは「落とせるのか」「傷んでいるのか」だと思います。

公的な資料をたどると、正体と、傷んでいるかどうかまでは書かれている一方で、家庭で落とす手順はどこにも書かれていません。その線を整理します。

この記事の要点
・緑は藻、黒ずみは死んだ藻を栄養にしたカビ、白く浮くのは白華(エフロレッセンス)で、それぞれ別のものです
・白華も藻苔も、それ自体が品質や性能を落とすとは書かれず、白華は水の移動に関係するとされます
・水圧や薬剤の濃度、落とす頻度の数値を示した公的資料は見つかりませんでした

塀の緑色の汚れと黒ずみは何ですか?

緑色は藻、黒ずみはその藻が死んだあとに生えたカビです。国土技術政策総合研究所が公開する住宅のメンテナンスガイドラインは、サイディング材の表面の凹凸を挙げたうえで、こう書きます。

そこに雨水や結露水が作用し藻の胞子が付着すると、日光を浴びて藻が繁殖し、壁面が緑色になります。その後、乾燥状態が続くと藻が死んでそれを栄養としてカビが生えると、今度は表面が黒く汚損されてくることがあります。

同じ資料は、新築後5年以内でも、水分、温度、酸素、養分の4条件が整えばこの汚損が自然に生じるとしています。建築研究所の建築研究資料No.145も、藻苔汚れについて「緑色を呈しているが色が黒い場合はカビが生じている可能性が高い」と、同じ見方を書いています。

どちらも建物の外装仕上げについての記述で、コンクリートブロックの塀そのものの基準ではありません。セメント系の面で共通して起きることとして読みます。

見えるもの

正体

緑色の汚れ

黒ずみ

死んだ藻を栄養にしたカビ

浮き出る白い結晶

白華(エフロレッセンス)

こすると付く白い粉

チョーキング(塗膜の劣化)

表面に浮く白い粉は何ですか?

白華(エフロレッセンス)です。外から付いた汚れではなく、セメントの中の成分が水に運ばれて表面に出てきたものです。農林水産省「農業水利施設の機能保全の手引き」は、析出物をこう説明しています。

セメント中の可溶性成分(カルシウム塩やアルカリ塩)が水分の移動によってコンクリートの表面に溶出し、水分の蒸散や空気中の炭酸ガスなどの吸収によって析出したもの。

この手引きは農業水利施設が対象で、塀の基準ではありません。ただしセメント系の面で何が起きているかの説明としては、ここが最も具体的です。

紛らわしいのが、こすると指に付く白い粉です。国土技術政策総合研究所の資料は、サイディング材の表面を指でこすると白い粉が付着することがあるとし、「これをチョーキングあるいは白亜化といい、表層の塗料(樹脂)が分解したものです」と書いています。塗膜の劣化の話なので、塗装していない塀には当てはまりません。

白い粉や苔が出たら塀は傷んでいますか?

それ自体が塀を傷めるものとは書かれていません。ただし白華は水が動いているしるしなので、ほかの劣化を疑う合図として扱われます。同じ手引きの参考資料編はこうです。

エフロレッセンス自体がコンクリートの品質に悪影響を及ぼすことはないが、エフロレッセンスの発生は水の移動に関係しているため、ひび割れや内部欠陥など、他の劣化が発生している可能性があるので注意を要す。

苔や藻についても、同じく建物の外装仕上げの話ですが、国土技術政策総合研究所の資料は、こうした汚損が生じても機能、性能に問題は生じないとしたうえで、「藻や苔が発生する環境は改善しておいたほうがよいでしょう」と続けています。直前の一文は「通常の洗浄方法では除去しきれない汚れが付着することがあります」とも書いています。

ほかの劣化を疑う、というのは、具体的にはひび割れが出ていないかを見るということです。

緑は藻、黒ずみは死んだ藻に生えたカビ、白く浮くのは白華。白華は水の移動に関係するとされる。
緑は藻、黒ずみは死んだ藻に生えたカビ、白く浮くのは白華。白華は水の移動に関係するとされる。

高圧洗浄機や洗剤を使ってよいですか?

使ってよい水圧や薬剤の濃度を示した公的な資料は見つかりませんでした。近いのは官庁施設の改修工事の仕様書で、塀の清掃の基準ではありません。国土交通省「公共建築改修工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版」が高圧水洗を既存塗膜及び下地コンクリートの劣化部を除去する工法として定めた箇所は、加圧力に一律の数値を置かず、こう書きます。

(イ) 高圧水洗機の加圧力は、コンクリート表面及び既存塗膜の付着強度により異なるため、試験施工を行い、監督職員の承諾を受ける。/(ウ) 高圧水洗機を使用し、既存塗膜を除去する場合は、施工に関する十分な経験と技能を有する技術者の施工とする。なお、高圧水による事故の防止に努める。

同じ仕様書は、モルタルを塗り替える前の下地処理として、コンクリート壁面に高圧水洗処理で目荒しを行う場合は、水圧及び目荒し時間を適切に設定し、モルタルの接着に適した粗面に仕上げるとしています。わざと粗い面をつくるためにも同じ手段が使われ、ここでも先立つ試験施工と監督職員の承諾が要るとされています。

一方で同じ仕様書は、粉化物や付着物の除去のように清掃の側でも高圧水洗機を認めています。削る道具だから使ってはいけない、ということではありません。ただしこの仕様書にMPaの記載はなく、苔・白華・エフロレッセンスの語も出てきません。「◯MPa以下なら安全」「ノズルは◯cm離す」の出どころも見当たりません。

「まぜるな 危険」の表示は告示によるものです

家庭用品品質表示法に基づく消費者庁の告示は、住宅用・家具用の洗浄剤のうち一定量以上の塩素ガスを発生する酸性タイプと塩素系のものに、「まぜるな 危険」と、混ぜると有害な塩素ガスが出て危険である旨の表示を義務づけています。事業者への表示の定めであって、使う人の行為を縛る規定ではありません。

汚れにくくするにはどうしますか?

落とすより、生える条件を外すほうが資料の書き方に沿っています。先の4条件のどれかを欠けさせる、という考え方です。建築研究所の資料は、藻苔汚れが出る場所を「建物周辺に植物が生育し、日当たりが悪く湿気が多い部位」としています。手が届くのは水分と日当たりで、植栽との距離を取り、日と風が抜けるようにするあたりです。日照時間や隙間の寸法など、しきい値を示した数値はどちらの資料にもありません。

見つけたあとに確かめることは決まっています。国土交通省「ブロック塀の点検のチェックポイント」は外観で見る項目に「塀に傾き、ひび割れはないか」を挙げ、ひとつでも不適合がある場合や分からないことがあれば専門家に相談しましょう、としています。塀は建築基準法上、建物に附属する門や塀として建築物に含まれ、同法第8条第1項は所有者、管理者または占有者に、敷地、構造及び建築設備を常時適法な状態に維持するよう努めなければならないと定めています。苔や白華を落とすこと自体を法が命じているわけではありません。

よくある質問

白華は自然に消えますか?

消えるまでの期間を示した公的資料は見つかりませんでした。白華は水の移動に関係するとされるので、消えるのを待つより、ひび割れが出ていないかを確かめるほうが先です。

高圧洗浄機は何MPaまでなら安全ですか?

国の仕様書は加圧力に一律の数値を置かず、コンクリート表面及び既存塗膜の付着強度により異なるため試験施工を行い、監督職員の承諾を受ける、としています。家庭向けの上限を示した公的資料はありません。

酸性の洗剤で白華を溶かせますか?

塀の白華を対象にした薬剤と濃度の公的資料は見つかりませんでした。国の仕様書に酸類が出てくるのはタイルを張り替えたあとの清掃で、目地モルタルによる汚れが著しい場合に監督職員の承諾を受けて用いることができ、酸洗い前後は水洗いを行い酸類が残らないようにする、金物等には養生を行う、という条件が付きます。白華の話ではありません。

まとめ

緑は藻、黒ずみは死んだ藻に生えたカビ、白く浮くのは白華、こすると指に付く白い粉は塗膜の劣化です。いずれも、それ自体が品質や性能を落とすとは書かれていません。家庭で落とすときの水圧・薬剤・頻度の数値は見つからず、公的資料が勧めていたのは、落とすことより生える環境を改善することでした。

いまの塀を作り替える段になったら、その場所に設置できるか、どんな意匠にできるかを、まずご相談ください(ご相談は無料です)。M Art Wall は塀の製造・販売元で、清掃や補修は請け負っていません。

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