この記事の要点
・塀は工法ごとに根拠となる条文も高さの上限も違う
・補強コンクリートブロック造は2.2mまで(構造計算で安全を確かめた場合を除く)、補強していない組積造(レンガ・石・ブロック)は1.2mまで
・金属フェンスはどちらの条文の対象でもない。ただし別の制約はある
塀を新しくしようと調べ始めると、ブロック塀、フェンス、板塀、生垣といった言葉が並びます。見た目の好みで選びたくなりますが、工法が変わると適用される法律も変わります。
ここでは主な種類を、法律上の扱いと合わせて並べます。
塀にはどんな種類がありますか?
大きく分けて5種類です。積む・張る・立てる・植える、という作り方の違いで分かれます。
種類 | 作り方 | 高さの上限 |
|---|---|---|
補強コンクリートブロック塀 | 鉄筋を入れてブロックを積む | 2.2m(構造計算で安全を確かめた場合を除く) |
組積造の塀(レンガ・石) | 補強せずに積む | 1.2m |
金属フェンス | 柱を立てて面材を張る | 条文の直接の対象外 |
木塀・板塀 | 柱を立てて板を張る | 条文の直接の対象外 |
生垣 | 樹木を植えて並べる | 条文の直接の対象外 |
「条文の直接の対象外」のものがあるのは、法律が緩いからではありません。組積造や補強コンクリートブロック造という特定の工法に向けた条文だからです。次で説明します。


ブロック塀とレンガ塀では、なぜ上限が違うのですか?
鉄筋を入れて積むブロック塀(補強コンクリートブロック造)と、補強せずに積むレンガ塀など(組積造)とで、当てはまる条文が違うからです。
建築基準法施行令は、組積造の塀を第61条で、補強コンクリートブロック造の塀を第62条の8で定めています。
項目 | 組積造(第61条) | 補強コンクリートブロック造(第62条の8) |
|---|---|---|
高さ | 1.2m以下 | 2.2m以下 |
控え壁の間隔 | 4m以下ごと | 3.4m以下ごと |
控え壁の突き出し | 壁厚の1.5倍以上 | 塀の高さの1/5以上 |
基礎の根入れ | 20cm以上 | 30cm以上 |
第62条の8 の控え壁(第5号)と、基礎の丈・根入れの深さ(第7号)は、高さ1.2m以下の塀には求められていません。また第62条の8 には、国土交通大臣が定める基準に従った構造計算で安全が確かめられた場合は各号によらなくてよい、というただし書きがあります。第61条の控え壁は、壁厚が同条第2号で求める厚さの1.5倍以上あれば要りません。
組積造には、れんが造・石造のほか、鉄筋の入っていないブロック造も含まれます(建築基準法施行令第51条。国土交通省の点検のチェックポイントも、鉄筋のないブロック造を組積造の欄に入れています)。補強していない古いブロック塀は、高さ1.2mを超えていれば、今の基準を満たしていません。
出典: 建築基準法施行令(e-Gov法令検索) 第51条・第61条・第62条の8、国土交通省「ブロック塀等の点検のチェックポイント」
フェンスに高さの制限はありませんか?
建築基準法には、フェンスの高さを直接定めた条文がありません。施行令第61条は組積造、第62条の8は補強コンクリートブロック造に限った規定で、アルミフェンスはどちらの対象でもありません。
ただし「何mでも自由」ではありません。たとえば次のような決まりがあります。
- 土を留めるなら「擁壁」に当たり、高さ2mを超えると、都市計画区域などの区域内では確認申請の対象になる(ほかの法律の許可が要る擁壁を除く。建築基準法第6条・第88条、施行令第138条)
- 地区計画の区域では、市町村の条例で門や塀の高さ・形状・材料が定められることがある(建築基準法第68条の2・施行令第136条の2の5)
- 壁面線が指定された場所では、高さ2mを超える門・塀は壁面線を越えて建てられない(地盤面下の部分などを除く。建築基準法第47条)
- 防火地域にある建物、または準防火地域にある木造建築物等に附属する門・塀で、高さ2mを超えるものは、建築基準法第61条の構造の決まりの対象になる(施行令第136条の2第5号)
フェンスも、建物に附属する塀に当たれば(建築基準法第2条第1号)、門・塀の決まりがかかりえます。高さのあるフェンスを立てる前に、自治体の建築の窓口へ確認するのが確実です。
土を留めているなら、塀の前に擁壁の話になります。種類と高さの測り方は自分の家の擁壁はどの種類? 高さの測り方にまとめました。
生垣は塀の代わりになりますか?
目隠しとしては機能しますが、性質がまったく違います。生垣は樹木を植えたもので、施行令第61条・第62条の8 のような工法ごとの条文の対象ではありません。ブロック塀を撤去して生垣にする工事を、補助の対象に含めている自治体もあります。
完全な目隠しにはならず、季節によって透け方が変わります。
結局どれを選べばよいですか?
優先するものを1つ決めると絞れます。
優先するもの | 向く種類 |
|---|---|
設置の手数を減らす | 金属フェンス |
高さのある目隠し | 軽い構造の意匠塀 |
意匠・重厚感 | 意匠塀、石張り |
手入れの少なさ | 金属フェンス、意匠塀 |
緑のある景観 | 生垣 |
迷いやすいのは「高さのある目隠し」を求める場合です。補強コンクリートブロック造の塀は、構造計算で安全を確かめない限り2.2mまでです。塀とフェンスのどちらを選ぶかの考え方は塀とフェンスの違いは? 法律と目的で選ぶにまとめました。
M Art Wall は、発泡素材を芯材にした特殊発泡構造物です。重さは当社の資料で約20〜25kg/㎡と、コンクリートブロック塀の約200〜250kg/㎡に比べて軽く、敷地条件によりますが、高さ3mまでの意匠塀に対応しています。
よくある質問
塀の種類によって法律の扱いは違いますか?
違います。補強していない組積造の塀は建築基準法施行令第51条・第61条で高さ1.2m以下、補強コンクリートブロック造の塀は第62条の8で2.2m以下(国土交通大臣が定める基準に従った構造計算で安全を確かめた場合を除く)と定められています。金属フェンスや木塀はどちらの条文の直接の対象でもありません。
レンガ塀は何mまで積めますか?
補強せずに積むレンガ塀は、組積造の塀として1.2mまでです(建築基準法施行令第51条・第61条)。控え壁は長さ4m以下ごとに、壁厚の1.5倍以上突き出させます。ただし、壁厚が同条第2号で求める厚さの1.5倍以上あれば、控え壁は要りません。
鉄筋の入っていない古いブロック塀はどう扱われますか?
組積造の塀に当たり、補強していなければ高さの上限は1.2mです(建築基準法施行令第51条・第61条)。超えている場合、現在の基準を満たしていないことになります。必要なら撤去や建て替えをご検討ください。
アルミフェンスを2m以上にしても違法ではありませんか?
建築基準法にフェンスの高さを直接定めた条文はありません。ただし土を留める場合は擁壁として、高さ2m超で確認申請の対象になりえます(都市計画区域などの区域内に限り、宅地造成及び特定盛土等規制法などの許可が要る擁壁は除く。建築基準法第6条・第88条、施行令第138条)。建物に附属する塀(建築基準法第2条第1号)に当たり、高さが2mを超えるなら、壁面線が指定された場所や、防火地域・準防火地域(準防火地域では木造建築物等に附属するもの)で別の決まりがかかることもあります(建築基準法第47条・第61条)。地区計画の区域では、市町村の条例で制限されていることもあります。事前に自治体へご確認ください。
生垣に助成金は出ますか?
ブロック塀を撤去して生垣にする工事を、補助の対象に含めている自治体があります。たとえば横浜市のブロック塀等改善事業は、道路等に面するブロック塀等の除却とセットで行う生垣の新設工事を対象にしています(道路の幅などの条件があります)。条件は自治体ごとに異なるため、市区町村の窓口でお確かめください。
まとめ
塀選びは見た目から入りがちですが、先に工法ごとの制約を知っておくと、後戻りが減ります。
- 補強していない組積造は1.2mまで
- 鉄筋を入れた補強コンクリートブロック造は2.2mまで(構造計算で安全を確かめた場合を除く)
- 金属フェンスは施行令第61条・第62条の8 の対象外だが、擁壁・地区計画や、高さ2mを超える門・塀の決まりは別
- 2.2mを超える意匠塀が要るなら、構造計算で安全を確かめるか、工法を変える
どの種類が向いているかは、敷地の条件と隠したいものによって変わります。現地の写真や図面があれば、一緒に考えられます。設置できるか・どんな意匠にできるか、まずご相談ください。ご相談は無料です。

