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塀は建築物? 工作物? 法律上の扱い

塀は建築物? 工作物? 法律上の扱い

塀は建築物なのか、工作物なのか。この問いは二者択一ではありません。建築基準法第2条第1号が、建築物を「土地に定着する工作物のうち」の一部として定義しているためです。

この記事の要点
・建築物は工作物の一種で、塀がどちらかは建物に附属しているかで決まります
・「附属する」の定義は法にも施行令にも無く、線を引いているのは行政の運用文書です
・建築物として扱われないときも、民法の工作物責任は残ります

塀は建築物ですか、工作物ですか?

建物に附属していれば建築物、独立して建っていれば建築物以外の工作物です。建築基準法第2条第1号は、建築物を「土地に定着する工作物のうち」と書き起こしたうえで、「これに附属する門若しくは塀」を建築物に含めています。建築物は工作物の一種で、並び立つ2つの箱ではありません。

一 建築物 土地に定着する工作物のうち、…、これに附属する門若しくは塀、観覧のための工作物又は地下若しくは高架の工作物内に設ける事務所、店舗、興行場、倉庫その他これらに類する施設(…)をいい、建築設備を含むものとする。

塀を建築物に取り込んでいるのは定義の後段で、屋根の有無を問う前段ではありません。「…」で落としたのは、前段の屋根を要する部分と、鉄道施設などを除く括弧書きです。

工作物という枠の中に建築物がある。塀は建物に附属すれば建築物、独立していれば工作物のまま。
工作物という枠の中に建築物がある。塀は建物に附属すれば建築物、独立していれば工作物のまま。

「建築物に附属する塀」とはどういう意味ですか?

法にも施行令にも「附属」の定義はありません。建築基準法第2条の定義は第一号から第三十五号までありますが附属の定義は無く、施行令第1条の定義も6語だけです。線を引いているのは、行政が公表している運用文書のほうです。

同じ敷地に建物があるかで見る自治体があります

大阪府は、建設リサイクル法の質疑応答の公表資料で、次のように判断すると示しています。

同一敷地内に居宅等の建築物があり(あるいはそれに類する形)その建物の門や塀が存在すれば「建築物に附属する門や塀(建築物)」、居宅等の建築物が存在しなければ「建築物に附属しない単独の門や塀(工作物)」となります。

これは大阪府が建設リサイクル法の運用として示した物差しで、建築基準法の一般的な判定基準ではありません。国土交通省の「建設リサイクル法 質疑応答集(案)」も、建築物本体に付属するかどうかで建築物と建築物以外の工作物に分けており、同じ整理です。

門と塀で扱いは違いますか?

定義と集団規定では対で出てきますが、構造の仕様規定はほとんどが塀だけを名指ししています。建築基準法と施行令の本文で、門は必ず塀(へい)と対で登場します。

規定

法第2条第1号(建築物の定義)

含む

含む

令第61条(組積造のへい)

含む

令第62条の8(塀)

含む

令第62条の6第2項(目地及び空胴部)

含む

含む

令第71条第2項(鉄筋コンクリート造)

含む

令第136条の2の5第10号

含む

含む

門を含む構造の仕様規定は一つだけです

施行令第62条の6第2項が、補強コンクリートブロック造について、門とへいの縦筋をコンクリートブロックの空胴部内で継ぐことを同じ項で原則として禁じています。地区計画等の区域で条例が定めうる制限にも、門と塀が並んで出てきます。

十 垣又は柵の構造の制限 建築物に附属する門又は塀の構造をその高さ、形状又は材料によつて定めた制限であること。

建築物として扱われると何が変わりますか?

確認、維持保全、既存不適格という、建物と同じ土俵に乗ります。建築基準法第6条第1項の確認、第8条第1項の維持保全の努力義務、第3条第2項の既存不適格は、いずれも建築物を名宛人にした規定です。岡山市は、附属する塀を「階数及び面積の概念のない建築物として」新築・増築・改築・修繕模様替に整理しています。

検査済証が出ないという形で効きます

山形県建築住宅課が令和2年3月に出した通知(酒田市のサイトに掲載)は、建築物の確認申請の中での扱いをこう示しています。

建築基準法において、建築物に付属する塀等は建築物に該当します。(法第2条第1号)確認申請時には、申請敷地内のブロック塀等※の建築基準法への適合状況が確認できないと確認済証の交付はできません。…
※ブロック塀等:補強コンクリートブロック造の塀、組積造(れんが造、石造、コンクリートブロック造)のへい

呉市都市部建築指導課も、完了検査時に建築物の敷地内に建築基準法に適合しない門塀が存在する場合は検査済証を交付できないとしています。塀の工事そのものではなく、建物の手続きが止まるという形で効きます。

建物のない敷地に建つ塀はどうなりますか?

建築物には当たらず、指定された工作物にも入っていません。建築物以外の工作物に建築基準法の一部が及ぶ道は第88条第1項ですが、対象は施行令第138条第1項が指定したものに限られ、その列挙に塀はありません(挙がるのは高さが2mを超える擁壁です)。岡山市は、建築物のない敷地に塀のみを築造する場合は建築物と扱わず確認申請は不要と公表しています。

建築基準法の外でも責任は残ります

民法第717条第1項は、土地の工作物についての賠償責任を定めています。

(土地の工作物等の占有者及び所有者の責任)第七百十七条 土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う。ただし、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければならない。

建築物でないことは、何もかからないことではありません。なお岡山市が公表しているのは建築物として扱わないところまでで、構造の規定が及ばないとは書いていません。

意匠塀はどちらで考えればよいですか?

素材や工法では決まりません。分かれ目は建物に附属しているかどうかだけです。建築基準法にも施行令にも、素材で建築物と工作物を分ける条文はありません。

岡山市は建築基準法取扱基準(第四版)で、塀に該当するかについて「規模(長さ、高さ等)、構造(CB造、RC造、木造、フェンス、ルーバー等)によらず原則として全て塀として取り扱う」と公表しています。これは岡山市の取扱基準で、全国の基準ではありません。

一方、構造の仕様規定は種類ごとに書き分けられています。施行令第61条は「組積造のへい」、第62条の8は「補強コンクリートブロック造の塀」、第71条第2項は鉄筋コンクリート造の節の中で「高さが三メートル以下のへい」を名指ししています。

よくある質問

塀だけを建て替えるとき、確認申請は要りますか?

全国一律の答えはありません。千代田区は「建築物に附属する門・塀を新築・増築・改築・移転する時は、原則として建築確認申請が必要です」と公表しており、門・塀のやり替えもこれに該当するとしています。岡山市は既存建築物のある敷地に新たに塀を築造する場合を面積が増加しないため不要としています。建築基準法第6条第2項が、防火地域及び準防火地域外での増築・改築・移転で床面積の合計が十平方メートル以内のものを第1項の適用から外しており、塀に床面積は生じないため、地域の指定の内外で当てはめが変わります。所管の特定行政庁に確認してください。確認申請の要否は別の記事で扱っています。

建物のない更地に塀だけを建てる場合はどうなりますか?

岡山市は、建築物に附属する塀ではないため建築物とは扱わず、確認申請は不要と公表しています。ただし土地の工作物であることは変わらず、設置または保存の瑕疵についての民法第717条第1項の責任は残ります。

フェンスも塀に入りますか?

岡山市の取扱基準は、土地に定着する工作物で区画、遮蔽、侵入防止等を目的とするものを、規模や構造によらず原則としてすべて塀として取り扱うとしています。フェンスやルーバーもその例に挙がっています。ほかの自治体の運用は別に確かめてください。

まとめ

建築物か工作物かは二者択一ではありません。建築基準法第2条第1号が建築物を「土地に定着する工作物のうち」と定義しているので、建築物は工作物の一種です。分かれ目は建物に附属しているかどうかで、素材や工法では決まりません。附属していれば建物と同じ手続きの土俵に乗り、していなくても民法の責任は残ります。

M Art Wall は軽い意匠の塀の製造・販売元で、確認申請の代行も工事も行いません。どんな意匠にできるかをまずご相談ください(ご相談は無料です)。

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