敷地を囲うとき、塀にするかフェンスにするかで迷う人は多いはずです。法律は塀とフェンスを分けていません。決まっているのは構造ごとの高さで、選ぶ軸は目隠し・隣地・維持・防犯という目的の側にあります。条文と行政・業界団体の資料を根拠に、決める順番を整理します。M Art Wall は塀の製造・販売元で、工事は請け負いません。敷地にどの規定がかかるかは、自治体の建築指導担当に確認してください。
この記事の要点
・建築基準法と同施行令に「フェンス」の語は出てきません。法2条1号が建築物に含めるのは「これに附属する門若しくは塀」です
・組積造と補強コンクリートブロック造の塀は高さの上限が施行令にあり、フェンスに素材別の規定はありません
・東京都は塀を「敷地内部が見通せない囲障」、柵を「敷地内部が見通せる囲障」と定義しています。見通しを軸に目的で選びます
法律は塀とフェンスをどう分けていますか?
分けていません。建築基準法と同施行令の全文に、「フェンス」という語は一度も出てきません。法2条1号は、建築物の定義の中で「これに附属する門若しくは塀」を建築物に含めています。門や塀に当たるかどうかが基準で、素材や呼び名では区別していないのです。同施行令138条1項が挙げる工作物にも、塀やフェンスはありません。ただし、語が条文に無いことと、フェンスに規定がかからないことは別です。建物に附属する門・塀に当たるかどうかは、敷地ごとの解釈になります。
高さの決まりはどこにありますか?
高さの数字は、塀の構造ごとに施行令に書かれています。補強していない組積造は1.2m以下、補強コンクリートブロック造は2.2m以下です。前者は施行令51条・61条1号、後者は62条の8第1号の「高さは、二・二メートル以下とすること」で、同条ただし書により、国土交通大臣が定める基準に従った構造計算で安全を確かめた場合は除かれます。フェンスに、この2つのような素材別の仕様規定はありません。

地区計画のある区域は別です。施行令136条の2の5第1項10号は、市町村の条例で定める「垣又は柵の構造の制限」を「建築物に附属する門又は塀の構造をその高さ、形状又は材料によつて定めた制限であること」としています。決める前に、敷地が地区計画の区域かどうかを確認してください。
高さ2mで何が変わりますか?
建築基準法が門や塀に引いている線の一つが、素材ではなく「高さ2m」です。法47条は、壁面線の指定がある場所では高さ2mを超える門や塀も建物と同じ制限を受けるとしています。法61条は防火地域・準防火地域の建築物に定められた構造方法を求め、門・塀では、高さ2mを超え、防火地域にある建築物か準防火地域にある木造建築物等に附属するものを対象にしています(同条ただし書・施行令136条の2第5号)。建物に附属する門・塀に当たる限り、フェンスにも同じ線がかかりえます。
フェンスの風はどう考えますか?
フェンス単体の耐風性能を数値で定めた法令や業界団体の統一基準は確認できません。頼りになるのは製品ごとの表示です。施行令87条の風圧力は、建築物の構造計算の規定です。一般社団法人日本エクステリア工業会は2023年12月、会員メーカーの風速表記を「メーカー独自の自社基準表記から基準風速Vo表記に統一」すると発表しましたが、対象はカーポートです。フェンスの耐風の数値が何を表すかは、カタログで確かめてください。同会の自主点検ハンドブックはフェンス欄に「強風や積雪、地震による転倒・破損」を挙げており、風は数値基準ではなく点検項目として扱われています。
目隠しが目的なら塀ですか?
見通しを遮りたいなら、行政の定義でいう「塀」を選ぶことになります。東京都の「国産木材を活用した塀等の設置ガイドライン」は、塀を「敷地内部が見通せない囲障」、柵を「敷地内部が見通せる囲障」と定義しています。見通しで分けているので、板を隙間なく張って中が見えないものは、呼び名がフェンスでもこの定義では塀の側です。
民法235条を「隣家に目隠し塀を求める根拠」と考えるのは誤りです。同条で「目隠しを付けなければならない」のは、境界線から1m未満に他人の宅地を見通せる窓や縁側を設ける側で、塀の高さを義務づける規定ではありません。
防犯ではどう考えますか?
警察庁の「安全・安心まちづくり推進要綱」は、住宅の囲障について「ブロック塀はできる限り避け、柵など見通しの良いものにすること」としています。目隠しとの両立は「目隠し塀と防犯、見通しはどう確保する?」で扱います。
隣地との境界ならどちらですか?
境界に共同で設ける囲障には民法の決まりがあり、協議が調わないときの基準は「板塀又は竹垣その他これらに類する材料のものであって、かつ、高さ二メートルのもの」です。民法225条は、所有者の異なる2棟の建物の間に空地があるとき、境界に共同で囲障を設けられると定め、2項でこの基準を置いています。塀かフェンスかより先に、隣地と共同で設けるのか単独で設けるのかを決めてください。条文の読み方は「境界の塀は隣とどう決める? 民法の条文から」で扱っています。
維持ではどう違いますか?
税務上の法定耐用年数は、金属造の「へい」が10年、コンクリートブロック造が15年です。減価償却のための年数で、物理的な寿命ではありません。根拠は減価償却資産の耐用年数等に関する省令の別表第一で、「金属造のもの」と「コンクリート造又はコンクリートブロツク造のもの」の「へい」の欄です。点検はどちらにも要ります。ここまでの観点を表にまとめます。
観点 | 塀 | フェンス |
|---|---|---|
高さの決まり | 補強していない組積造 1.2m以下(令51条・61条)/補強コンクリートブロック造 2.2m以下(令62条の8。構造計算で安全を確かめた場合を除く) | 素材別の仕様規定は無い |
見通し | 敷地内部が見通せない囲障 | 敷地内部が見通せる囲障(柵) |
隣地との関係 | 民法225条の協議。法定の囲障は板塀・竹垣その他これらに類する材料で高さ2m | 同じ条文が当てはまる |
維持 | コンクリートブロック造の「へい」は法定耐用年数15年 | 金属造の「へい」は10年 |
ブロック塀の上にフェンスを載せられますか?
国の点検資料に「ブロック塀の上のフェンス」という項目は無く、扱いは自治体ごとに分かれています。除却補助では、福岡市が「ブロック塀等」を「組積造による塀(フェンスなどとの混用の場合も含む)」と定義する一方、熊本市は「残存させたブロック塀等の上にフェンス等を設置することはできません」としています。載せてよいかは、塀の状態と高さの数え方を先に確かめてください。判断の条件は「既存のブロック塀の上に載せられる? 判断の4条件」で整理しています。
M Art Wall は、発泡素材を芯材にした軽い意匠塀の製造・販売元です。見通せない塀と見通せる柵の中間、たとえば下部を塀にして上部を格子にする構成は、設計で組めます。どんな意匠にできるかはお問い合わせください(ご相談は無料です)。
よくある質問
アルミフェンスにも建築基準法の高さ制限はありますか?
条文にフェンスの素材別の数字はありません。建物に附属する門・塀に当たるかどうかの解釈になり、当たるなら、壁面線の指定がある場所や、防火地域・準防火地域(準防火地域は木造建築物等に附属するもの)で、高さ2m超の門・塀に別の決まりがかかりえます(法47条・61条)。地区計画の区域では条例で高さ・形状・材料が定められることがあるので、自治体の建築指導担当に確認してください。
目隠しフェンスは塀ですか、柵ですか?
東京都のガイドラインの定義では、敷地内部が見通せないものが塀、見通せるものが柵です。板を隙間なく張った目隠しフェンスは塀の側に入ります。行政文書の定義で、建築基準法の用語ではありません。
隣の家に目隠しを付けてもらうことはできますか?
隣家が境界線から1m未満に他人の宅地を見通せる窓や縁側を設けるなら、民法235条で目隠しを付ける義務を負うのは隣家の側です。ただし塀を求める根拠にはなりません。境界に共同で囲障を設けるなら、民法225条の協議が出発点です。
まとめ
法律は塀とフェンスを分けておらず、建築基準法が見ているのは「門・塀に当たるか」と「高さ」です。目隠しなら見通せない塀、防犯なら見通しを残す設計、隣地なら民法の協議、維持なら年数と点検。目的から順に当てはめれば、どちらにするかは決まります。

