境界に塀を建てたい。あるいは、隣から「一緒に建てませんか」と声をかけられた。このとき、どこまで自分で決めてよいのかが分かりにくいものです。
境界の塀については、民法が意外なほど具体的に定めています。ここでは条文に当たって、決め方の筋道を整理します。
この記事の要点
・条件が揃えば、隣と共同で境界に囲障を設けられる(民法 第225条)
・協議が調わないときの標準は板塀または竹垣で高さ2m
・境界線上に設けたものは相隣者の共有と推定される(第229条)
境界に塀を建てるとき、隣の同意は要りますか?
自分の敷地内に建てるなら、同意は要りません。境界線上に建てるなら、隣と決めることになります。どちらに建てるかで話が変わります。
民法は、境界に設ける仕切りを囲障と呼び、その設け方を第225条から第231条にかけて定めています。

隣と共同で建てることはできますか?
できます。ただし条件があります。民法 第225条第1項は次のように定めています。
二棟の建物の所有者が異なり、かつその間に空地があるときは、各所有者は他の所有者と共同で、その境界に囲障を設けることができる、という定めです。
条件は2つです。二棟の建物の所有者が違うこと、そしてその間に空地があること。更地どうしや、建物が建っていない側には、この条文はそのまま当てはまりません。
負担については第226条が、設置と保存にかかるものを相隣者が等しい割合で負担すると定めています。
話がまとまらないときはどうなりますか?
第225条第2項が標準を決めています。
当事者間に協議が調わないときは、前項の囲障は、板塀又は竹垣その他これらに類する材料のものであって、かつ、高さ二メートルのものでなければならない。
板塀または竹垣、高さ2m。これが協議不調のときの落としどころです。ブロック塀ではない点に注意してください。
ただし第228条に、これと異なる慣習があるときはその慣習に従う、という定めがあります。地域の慣行が優先される余地が残されています。
もっと良い材料にしたい、もっと高くしたいときは?
できます。第227条が認めています。
相隣者の一人は、第225条第2項が定める材料より良好なものを用いたり、同項が定める高さを増したりして囲障を設けることができます。ただし、それによって増える分は自分で負担することになります。
増える分は、言い出した側が持つという整理です。標準を超える部分は自分の負担、という考え方はここに出てきます。
境界線の上に建てたものは誰のものになりますか?
第229条が、相隣者の共有と推定すると定めています。対象は境界線上に設けた境界標・囲障・溝・堀です。
共有ということは、後から一人の判断で壊したり建て替えたりできないということでもあります。境界線上に建てるか、自分の敷地内に寄せて建てるかは、将来の建て替えのしやすさに直結します。
建てる位置 | 所有 | 建て替えのとき |
|---|---|---|
境界線上 | 共有と推定される | 隣と相談して決める |
自分の敷地内 | 自分のもの | 自分で決められる |
共有の囲障を、あとから高くできますか?
第231条が認めています。ただし条件があります。
共有の囲障の高さを増すことはできますが、その囲障が工事に耐えないときは、自分の負担で必要な工作を加えるか、つくり直さなければなりません。そして高さを増した部分は、その工事をした人の単独の所有になります。
「耐えないとき」の判断は、既存のものの健全性次第です。この見方は既存のブロック塀の上に載せられる?にまとめた4条件と重なります。
目隠しを求められることもありますか?
あります。民法 第235条第1項は、境界線から1m未満の距離に他人の宅地を見通せる窓や縁側(ベランダを含む)を設ける者に、目隠しを付けることを義務づけています。
距離は、窓や縁側のもっとも隣地に近い点から、垂直線で境界線までを測ります(同条第2項)。どのくらいの高さがあれば視線が隠れるかは隣の家からの視線、塀は何mあれば隠れる?にまとめました。
建築基準法の制限も別にかかります
民法が決めているのは、隣との関係です。工法ごとの高さや構造の制限は、建築基準法の側にあります。
- 補強コンクリートブロック造の塀 … 高さ2.2m以下(施行令 第62条の8)
- 組積造のへい … 高さ1.2m以下(施行令 第61条)
民法225条の標準が「高さ2m」であることと、建築基準法の上限は別の話です。両方を満たす必要があります。
よくある質問
境界に塀を建てるのに隣の同意は要りますか?
自分の敷地内に建てるなら同意は要りません。境界線上に建てる場合は、民法 第229条により相隣者の共有と推定されるため、隣と決めることになります。将来の建て替えのしやすさも変わります。
隣と共同で塀を建てられますか?
民法 第225条第1項により、二棟の建物の所有者が異なり、その間に空地があるときは、共同で境界に囲障を設けられます。設置と保存の負担は、第226条により相隣者が等しい割合で負います。
話がまとまらないときはどうなりますか?
民法 第225条第2項が、板塀または竹垣その他これらに類する材料で高さ2mのものと定めています。ただし第228条により、これと異なる慣習があるときはその慣習に従います。
共有の塀を勝手に高くしてもよいですか?
民法 第231条により高さを増すことはできますが、その塀が工事に耐えないときは自分の負担で補強するかつくり直す必要があります。高さを増した部分は、工事をした人の単独の所有になります。
まとめ
- 自分の敷地内に建てるなら、自分で決められる
- 境界線上のものは共有と推定される(第229条)
- 共同で設ける条件は「二棟の建物」と「間に空地」(第225条)
- 協議不調のときの標準は、板塀か竹垣で高さ2m
- 標準を超える分は、言い出した側の負担(第227条)
- 建築基準法の高さ制限は、これとは別にかかる
境界の話は、後から動かしにくい部分です。位置をどこに置くかを先に決めておくと、意匠の相談が進めやすくなります。
境界のどちら側に、どのくらいの高さで立てるか。図面や現地の写真があれば、より具体的にお話しできます。設置できるか・どんな意匠にできるか、まずご相談ください。ご相談は無料です。

