うちのブロック塀は、いつの基準で建ったのか。ブロック塀の基準は一度に決まったものではなく、建築基準法施行令(以下「施行令」)の改正で数値が変わってきました。
この記事の要点
・組積造(れんが造・石造・鉄筋のないブロック造)の塀の条(施行令第61条)は昭和25年11月23日の施行時から、補強コンクリートブロック造の塀の条(第62条の8)は昭和46年1月1日施行の版から、文部科学省サイトの参考資料に載る
・高さの上限は、組積造が3m→2m→1.2m、補強コンクリートブロック造が3m→2.2m(構造計算などで確かめる道は別)と下がってきた
・国土交通省の点検の資料は、建った年を問わず、いまの条文の数値で塀を見る
ブロック塀の基準は、いつから法令にあるのですか?
施行令では、組積造の塀の条は昭和25年11月23日の施行時からあり、補強コンクリートブロック造の塀の条は昭和46年1月1日施行の版から文部科学省サイトの参考資料に載っています。施行令の施行日は附則にあります。
1 この政令中第一章第二節の規定は、公布の日から、その他の規定は、昭和二十五年十一月二十三日から施行する。
同資料「ブロック塀等に係る建築基準法施行令の主な改正経過」は、組積造のへいを定めた第61条を昭和25年政令第338号(施行は昭和25年11月23日)の版から、補強コンクリートブロック造のへいを定めた第62条の8を昭和45年政令第333号の版から載せています。この政令の施行日も附則にあります。
1 この政令は、建築基準法の一部を改正する法律(昭和四十五年法律第百九号。以下「改正法」という。)の施行の日(昭和四十六年一月一日)から施行する。
年代ごとに、何が変わったのですか?
大きく変わったのは高さの上限で、境は昭和46年1月1日と昭和56年6月1日です。文部科学省サイトの参考資料に載る昭和56年までの版は、次のとおりです。
施行日 | 組積造の塀(第61条) | 補強コンクリートブロック造の塀(第62条の8) |
|---|---|---|
昭和25年11月23日 | 高さ3m以下 | 資料に版が無い |
昭和46年1月1日 | 高さ2m以下。根入れ20cm以上の号が載る | 資料に最初に載る版。高さ3m以下、控壁(高さ1.2m超の塀)は長さ3.2m以下ごと、径9mm以上の鉄筋を縦横80cm以下の間隔 |
昭和56年6月1日 | 高さ1.2m以下 | 高さ2.2m以下、控壁(高さ1.2m超の塀)は長さ3.4m以下ごと |
昭和56年6月1日は、昭和55年政令第196号の施行日です。
1 この政令は、昭和五十六年六月一日から施行する。ただし、第十条第一項の表の改正規定は、昭和五十五年十月一日から施行する。
資料の第62条の8のどの版にも、構造計算などで確かめたときのただし書があります。鉄筋の径と間隔の数値は、資料の昭和46年の版と平成13年の版で同じです。号ごとの中身はブロック塀の鉄筋の基準で整理しています。資料は自らを「主な改正経過」と称しており、これ以外に改正が無いとまでは言えません。
自宅の塀には、いつの基準が当たるのですか?
規定が施行された日に、その塀が既にあったか、工事中だったかで決まります。建物に附属する塀は建築基準法上の建築物に含まれ(同法第2条第1号)、同法第3条第2項がこう定めます。
2 この法律又はこれに基づく命令若しくは条例の規定の施行又は適用の際現に存する建築物若しくはその敷地又は現に建築、修繕若しくは模様替の工事中の建築物若しくはその敷地がこれらの規定に適合せず、又はこれらの規定に適合しない部分を有する場合においては、当該建築物、建築物の敷地又は建築物若しくはその敷地の部分に対しては、当該規定は、適用しない。
その日にあった塀、工事中だった塀が新しい規定に合っていなくても、その規定は適用されません。ただし、その時点で前の規定に違反していた塀は、同条第3項第1号でこの扱いから外れます。同項には、施行の後に工事を始めた増築・改築などで外れる号もあり、既存不適格のブロック塀は直すべき?で整理しています。
たとえば高さ2.5mの補強コンクリートブロック造の塀。昭和56年6月1日に既にあった、または工事中だったなら、同条第3項の各号に当たらない限り、2.2mの上限は適用されません。それより後に工事を始めた塀なら、建てたときから2.2mの上限を超えています(ただし書の道は別)。

建った年が分からないときは、どう見ればよいですか?
いまの数値で点検します。国土交通省の点検の資料は、建った年で分けずに現行の条文の数値で見ています。
国土交通省は、平成30年6月18日の大阪府北部を震源とする地震による塀の倒壊被害を受けてチェックポイントを作り、同月21日の通知(国住指第1130号)で、既存の塀の安全点検を所有者等に注意喚起するよう都道府県に求めました。問い合わせ対応に使う別紙2はこう書いています。
外観目視により、以下の事項に関し問題がないか確認する。高さ及び控え壁等の仕様・寸法については、組積造については建築基準法施行令第 61 条に、補強コンクリートブロック造の塀については令第 62 条の 6 及び令第 62 条の 8 に照らして適切か確認する。
チェックポイントも、ブロック塀は「塀の高さは地盤から2.2m以下か。」、組積造は「塀の高さは地盤から1.2m以下か。」と、いまの数値で問います。建った年を問う項目はありません。
「昭和56年5月31日以前」は、何の線ですか?
建築物の耐震改修の促進に関する法律(以下「耐震改修促進法」)の施行令第3条が定める、耐震不明建築物の線です。建築基準法施行令第62条の8の数値が変わった昭和56年6月1日の前日ですが、根拠の法令が違います。
法第五条第三項第一号の政令で定めるその地震に対する安全性が明らかでない建築物は、昭和五十六年五月三十一日以前に新築の工事に着手したものとする。(ただし書略)
平成31年1月1日施行の耐震改修促進法施行令の改正で、建物に附属する一定の高さ・長さを有するブロック塀等が通行障害建築物に加わりました。耐震診断が義務付けられるのは、耐震改修促進計画に記載された避難路の沿道にある一定規模以上の既存耐震不適格のブロック塀等で、耐震不明建築物であるものに限られます(国土交通省の報道発表、平成30年11月27日)。
よくある質問
ブロック塀の鉄筋は、いつから求められていますか?
文部科学省サイトの参考資料に最初に載る、昭和46年1月1日施行の施行令第62条の8の版に、径9mm以上の鉄筋を縦横80cm以下の間隔で配置する号があります。平成13年1月6日施行の版でも同じ数値です。
石やれんがの塀の基準は、いつからですか?
組積造のへいの条(施行令第61条)は、昭和25年11月23日の施行令の施行からあります。高さの上限は3mで、昭和46年1月1日に2m、昭和56年6月1日に1.2mと変わりました(文部科学省サイトの参考資料)。
構造計算で確かめる道は、昔からありましたか?
施行令第62条の8のただし書は資料に最初に載る版からあり、言い回しは版ごとに違います。昭和46年の版は「構造計算によつて」、昭和56年の版は「構造計算又は実験によつて」、平成13年1月6日施行の版は「国土交通大臣が定める基準に従つた構造計算によつて」です(文部科学省サイトの参考資料)。変わった時期の全部は、資料からは分かりません。
昭和46年より前からある補強コンクリートブロック造の塀は?
施行令第62条の8の昭和46年1月1日施行の版は、建物に附属する塀でその日に既にあったか工事中だったものには、合っていなくても建築基準法第3条第2項により適用されません(同条第3項の各号に当たるものを除く)。国土交通省の点検の資料は、それでも現行の条文の数値で見ます。
まとめ
- 組積造の塀の条は昭和25年11月23日の施行時から、補強コンクリートブロック造の塀の条は昭和46年1月1日施行の版から文部科学省サイトの参考資料に載る
- どの規定が当たるかは、建物に附属する塀が施行の日に既にあったか工事中だったかで決まる(建築基準法第3条第2項。同条第3項の各号に当たる塀を除く)
- 国土交通省の点検の資料は、建った年を問わず、いまの条文の数値で塀を見る
M Art Wall は軽い意匠の塀の製造・販売元で、点検や診断は請け負っていません。工事は各地の取扱店が行います。作り替える段になったら、まずご相談ください。

