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擁壁の撤去・造り替えに届出は要る? 盛土規制法

擁壁の撤去・造り替えに届出は要る? 盛土規制法

盛土規制法の手続きが要るかは、現場が規制区域の中か、壊す擁壁の高さが2mを超えるか、造り替えで生じる盛土・切土がどの規模か、で分かれます。

盛土規制法(宅地造成及び特定盛土等規制法)は、令和5(2023)年5月26日に施行されました(国土交通省の盛土規制法ポータル)。

この記事の要点
・この記事の許可と届出の条文は、宅地造成等工事規制区域と特定盛土等規制区域の中の工事が対象
・規制区域の中(公共施設用地を除く)で高さ2mを超える擁壁の全部又は一部を除却する工事は、着手の14日前までに届出(同法21条3項・40条3項、同法施行令26条1項・34条)。許可を受けた者などは除く
・造り替えの盛土・切土が同法施行令3条の規模なら、宅地造成等工事規制区域では工事主が着手前に許可を受ける(ただし書の工事を除く)

擁壁の撤去や造り替えで、盛土規制法の許可・届出はどこの工事にかかりますか?

規制区域の中の工事です。規制区域は2種類あり、同法10条1項の宅地造成等工事規制区域と、同法26条1項の特定盛土等規制区域です。この記事で扱う許可と届出の条文(同法12条・21条・27条・30条・40条)は、どれも区域の中の工事が対象です。

国土交通省の集計では、令和8年4月1日現在、規制区域を指定した地方公共団体は129のうち127です。区域は全域とは限らず、同省の盛土規制法ポータルの「自治体窓口」から各自治体の案内を辿れます。

高さ2mを超える擁壁を撤去するとき、届出は要りますか?

規制区域の中なら、許可を受けた者などを除き、工事に着手する日の14日前までに届出が要ります。宅地造成等工事規制区域は同法21条3項、特定盛土等規制区域は同法40条3項が「その旨を都道府県知事に届け出なければならない」と定めています。どちらも公共施設用地を除く土地での工事です。

対象の工事は、同法施行令26条1項が次のように定めています(特定盛土等規制区域も同令34条で同じ工事)。

擁壁若しくは崖面崩壊防止施設で高さが二メートルを超えるもの、地表水等を排除するための排水施設又は地滑り抑止ぐい等の全部又は一部の除却の工事

「全部又は一部」なので、高さ2mを超える擁壁の一部だけを壊す工事も入ります。擁壁の高さは、同令1条4項のとおり前面の上端と下端との垂直距離です。

届出から外れる者は条文の括弧書きにあり、同法21条3項では12条1項・16条1項の許可を受けた者と16条2項の届出をした者、40条3項では30条1項などの許可を受けた者や27条1項などの届出をした者です。

擁壁の撤去・造り替えで盛土規制法の手続きを確かめる順。規制区域の中か。区域の中(公共施設用地を除く)で高さ2m超の擁壁の全部又は一部を除却するなら着手の14日前までに届出(許可を受けた者などを除く)。造り替えの盛土・切土が盛土規制法施行令3条などの規模なら許可か届出(ただし書の工事を除く)。
擁壁の撤去・造り替えで盛土規制法の手続きを確かめる順。規制区域の中か。区域の中(公共施設用地を除く)で高さ2m超の擁壁の全部又は一部を除却するなら着手の14日前までに届出(許可を受けた者などを除く)。造り替えの盛土・切土が盛土規制法施行令3条などの規模なら許可か届出(ただし書の工事を除く)。

擁壁を造り替えるとき、許可が要るのはどんな場合ですか?

宅地造成等工事規制区域では、造り替えに伴う盛土・切土が同法施行令3条の規模に当たるとき、工事主が着手前に許可を受けます(同法12条1項。ただし書の工事を除く)。同法12条1項のただし書では、同法施行令5条1項が定める鉱山保安法・採石法などによる工事等が除かれます。

特定盛土等規制区域では、表のとおり規模によって届出(同法27条1項)か許可(同法30条1項)に分かれ、どちらにもただし書があります。許可を受ければ、その工事について27条1項の届出は要しません(同法30条5項)。

区域

手続き(ただし書の工事を除く)

盛土・切土の規模(いずれかに当たるもの)

宅地造成等工事規制区域

着手前に許可(同法12条1項)

盛土で高さ1m超の崖/切土で2m超の崖/盛土と切土を同時にして2m超の崖/盛土の高さ2m超/盛土・切土の面積500㎡超(同法施行令3条)

特定盛土等規制区域

着手の30日前までに届出(同法27条1項)

上と同じ(同令3条)

特定盛土等規制区域

着手前に許可(同法30条1項)

盛土で2m超の崖/切土で5m超の崖/盛土と切土を同時にして5m超の崖/盛土の高さ5m超/盛土・切土の面積3,000㎡超(同令28条1項・23条)

愛知県のよくある質問は、既存の擁壁の改修について「既存の擁壁と位置及び勾配が変化しない改修である場合は、新たな崖を生ずるものではないため、許可は不要です」とし、位置又は勾配が変わる場合は「新たに発生する崖が許可対象規模に該当するかどうかにより判断します」と答えています。国土交通省中部地方整備局のQ&Aは「各都道府県等の条例により規制対象規模が異なる場合があります」としています。

許可を受けるのは、施主と業者のどちらですか?

許可を受けるのは工事主で、請負の工事なら注文者です。同法2条7号は工事主を「宅地造成、特定盛土等若しくは土石の堆積に関する工事の請負契約の注文者又は請負契約によらないで自らその工事をする者」と定め、請負人は同条8号の工事施行者です。

同法12条2項3号は、許可の基準に「工事施行者に当該宅地造成等に関する工事を完成するために必要な能力があること」を挙げています。

建築基準法の確認申請とは、どう関係しますか?

盛土規制法の許可を受けなければならない擁壁には、建築基準法の確認申請や検査などの規定が適用されません。建築基準法施行令138条1項5号は「高さが二メートルを超える擁壁」を、建築基準法88条1項で確認申請などの規定を準用する工作物に挙げています(国土交通大臣が指定するものを除く)。同法88条4項は、盛土規制法12条1項・30条1項などの許可を受けなければならない場合の擁壁に、その一部を適用しないと定めています。

確認申請が要る区域と条件は「塀に建築確認申請は必要? 条文で確かめる」にまとめました。

受注の前に、盛土規制法で何を確かめればよいですか?

区域、壊すもの、造り替えで生じる盛土・切土の規模の3つです。

1つ目は、現場が2種類の規制区域の中か。外なら、この記事の許可と届出の条文はかかりません。2つ目は、壊す工事が盛土規制法施行令26条1項の除却に当たるか(擁壁なら高さ2m超か)。区域の中(公共施設用地を除く)で当たれば、許可を受けた者などを除き、除却の届出の対象です。3つ目は、造り替えの盛土・切土が表の規模に当たるか。当たれば、ただし書の工事を除き、許可か届出の対象です。

M Art Wall は意匠塀の製造・販売元で、施工は各地の取扱店が担っています。擁壁は当社の製品ではなく、設計も工事も行いません。

よくある質問

高さ2m以下の擁壁を撤去するときも、届出は要りますか?

盛土規制法施行令26条1項が届出の工事に挙げる擁壁は「高さが二メートルを超えるもの」で、2m以下の擁壁の除却は挙がっていません。同じ項は、地表水等を排除するための排水施設や地滑り抑止ぐい等の除却を、高さの条件なしで挙げています。規制区域の中で撤去のあとに盛土や切土をするなら、その規模で同法12条1項などの許可や届出の要否を見ます。

規制区域に入った土地の持ち主は、何か手続きが要りますか?

国土交通省中部地方整備局のQ&Aは「盛土・切土や擁壁などの工事を行わない限り、特に手続きは必要ありません」と答えています。続けて「規制区域内では、盛土等が行われた土地を常時安全な状態に維持する努力義務が土地所有者等に課せられます」としています。

区域が指定される前から続いている工事はどうなりますか?

盛土規制法21条1項は、宅地造成等工事規制区域の指定の際に区域内で行われている宅地造成等に関する工事の工事主に、指定の日から21日以内の届出を求めています。特定盛土等規制区域では、同法40条1項が特定盛土等又は土石の堆積に関する工事について同じ期限の届出を定めています。

除却の届出をすれば、許可は要りませんか?

別の手続きです。盛土規制法の規制区域の中で、除却の届出(同法21条3項・40条3項。公共施設用地を除く)は高さ2mを超える擁壁の全部又は一部の除却など同法施行令26条1項の工事、許可(同法12条1項・30条1項)は一定規模の盛土・切土などの工事が対象です(許可はただし書の工事を除く)。許可を受けた者などは、除却の届出から除かれています。

まとめ

規制区域の中(公共施設用地を除く)で高さ2mを超える擁壁の全部又は一部を除却するなら、着手の14日前までに届出です(許可を受けた者などを除く)。造り替えの盛土・切土が盛土規制法施行令3条の規模なら、宅地造成等工事規制区域では工事主が着手前に許可を受けます(ただし書の工事を除く)。特定盛土等規制区域でも、ただし書の工事を除き、規模によって届出か許可です。

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