帰ったら塀の角が欠けていた。車庫入れで自分の塀に当ててしまった。誰が直すかは、ぶつけた人が分かるか、ぶつけたのが自分かで分かれます。条文と、国土交通省・日本損害保険協会の資料から整理します。
M Art Wall は塀の製造・販売元で、法律事務所でも保険代理店でもありません。個別の事案は弁護士や契約先の保険会社・代理店に確認してください。
この記事の要点
・故意又は過失によって他人の塀を壊した人は、損害を賠償する責任を負います(民法第709条)
・自賠責保険・共済の補償の対象は人身事故による損害だけで、塀は対象外です(国土交通省)
・道路での事故なら、ぶつけた運転者には警察官への報告の義務があります(道路交通法第72条第1項)
・自分の火災保険は契約内容によります。自分でぶつけた自分の塀は、自分の対物賠償責任保険の対象外です(日本損害保険協会)
ぶつけた人に弁償を求められますか?
求められます。故意又は過失によって他人の塀を壊した人は、その損害を賠償する責任を負います。根拠は民法第709条です。
第七百九条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
要件は「故意又は過失」です。日本損害保険協会の相談ガイド(くるまの保険 問30)は、賠償を請求する相手に、故意または過失により他人の財物を損壊した運転者を挙げています。
相手の対物賠償責任保険について、同じ相談ガイド(問8)は、自動車事故によって他人の財物に与えた損害に対して、法律上の損害賠償責任を負った場合に保険金が支払われる保険と説明しています。
自賠責で塀は直せますか?
直せません。自賠責保険・共済の補償の対象は、人身事故による損害だけです。自動車損害賠償保障法第3条が定める賠償の責任は、運行によって他人の「生命又は身体を害したとき」のものです。自賠責保険の契約は、この第3条による保有者の損害賠償の責任が発生した場合に、保有者などの損害を保険会社がてん補するものです(同法第11条第1項)。
国土交通省のよくあるご質問も、「自賠責保険・共済の補償の対象は、人身事故による損害のみです。車両等の物的損害は対象になりません。」と答えています。塀の損害も物的損害なので、相手の自賠責からは出ません。
保険 | 塀の損害 | 根拠 |
|---|---|---|
相手の自賠責保険・共済 | 対象外 | 国土交通省 |
相手の対物賠償責任保険 | 相手に法律上の損害賠償責任があれば(故意などを除く) | 相談ガイド 問8 |
政府の保障事業(相手が分からないとき) | 対象外 | 自動車損害賠償保障法第72条第1項第1号、問39 |
自分の火災保険 | 契約内容による | 問50・問51 |
自分の対物賠償責任保険(自分でぶつけたとき) | 対象外 | 問8 |
相手が分からない(当て逃げ)ときは?
警察に届け出ます。日本損害保険協会の相談ガイド(問26)は、被害者からの届出も行う必要があることを忘れないことが大切だとしています。
道路での事故なら、ぶつけた運転者の側の義務は、道路交通法第72条第1項にあります。交通事故は「車両等の交通による人の死傷若しくは物の損壊」です(同法第67条第2項)。
第七十二条 交通事故があつたときは、当該交通事故に係る車両等の運転者その他の乗務員(以下この節において「運転者等」という。)は、直ちに車両等の運転を停止して、負傷者を救護し、道路における危険を防止する等必要な措置を講じなければならない。この場合において、当該車両等の運転者(運転者が死亡し、又は負傷したためやむを得ないときは、その他の乗務員。次項において同じ。)は、警察官が現場にいるときは当該警察官に、警察官が現場にいないときは直ちに最寄りの警察署(派出所又は駐在所を含む。同項において同じ。)の警察官に当該交通事故が発生した日時及び場所、当該交通事故における死傷者の数及び負傷者の負傷の程度並びに損壊した物及びその損壊の程度、当該交通事故に係る車両等の積載物並びに当該交通事故について講じた措置(第七十五条の二十三第一項及び第三項において「交通事故発生日時等」という。)を報告しなければならない。
この「運転者」は「車両等の運転をする者」(第2条第1項第18号)で、「運転」は「道路において」(一般交通の用に供する場所を含む。同項第1号)車両等を本来の用い方に従って用いることです(同項第17号)。道路での事故で、ぶつけても止まらず、報告もしないまま立ち去れば、この義務に反します。
相手が分からないときの政府の保障事業(自動車損害賠償保障法第72条第1項第1号)も、対象は「自動車の運行によつて生命又は身体を害された者がある場合」です。相談ガイド(問39)も、物損事故の損害は対象とならないとしています。

自分の保険は使えますか?
火災保険で塀の損害が補償されるかは、契約内容によります。相談ガイドのすまいの保険(問50)は、家計分野の火災保険で一般的に保険の対象にできるものの例に、「住居専用建物およびこれに収容されている家財(門、塀、垣、物置、車庫その他の付属建物を含みます。)」を挙げています。
問51 は、補償される主な損害に「建物の外部からの物体の落下・飛来、衝突・接触、倒壊による損害または車両やその積載物の衝突・接触」を挙げ、保険会社によって補償内容は異なるので保険会社または代理店に確認することが必要だとしています。確かめ方は塀は火災保険で直せる? 地震のときは?にまとめました。
自分で自分の塀にぶつけたら?
自分の自動車保険の対物賠償責任保険では補償されません。相談ガイド(問8)は、次の例を挙げています。
例えば、車庫入れに失敗をして、自分の自動車と、自分の家の塀に損害を与えてしまった場合は、自動車と塀(自分の所有する財物)の損害については、いずれも対物賠償責任保険の保険金は支払われません。
民法第709条が定めるのも、「他人の権利」などを侵害した者の責任です。自分の火災保険が使えるかも、契約内容によります。問50 は、契約者、被保険者などの故意、重大な過失、法令違反によって生じた損害を、保険金が支払われない主な事由に挙げています。
ぶつけられた塀を直す前に
車が当たった塀は、傾きやひびが出ていないかも見ておきます。見方は塀の傾きはどこから危険? 測り方と基準と塀のひび割れ、補修で直るものと直らないものにまとめています。
M Art Wall も、車が当たれば損傷し、車両が接触しうる場所には向きません(発泡スチロール塀のデメリットは? 耐久性も)。M Art Wall は塀の製造・販売元で、施工は取扱店が行います。
よくある質問
ぶつけた人の保険会社に、直接請求できますか?
相談ガイド(問8)は、対物賠償責任保険について、契約内容により、被害者は加害者が契約している保険会社に対して損害賠償額を直接請求できる場合があるとしています。
業務中の車がぶつかったら、誰に求めますか?
相談ガイド(問30)は、従業員が業務で運転中に第三者に損害を与えた場合は、原則として雇い主も使用者として賠償責任を負い、雇い主にも損害賠償を請求できるとしています。
家族が運転して、家の塀にぶつけたら?
相談ガイド(問8)は、対物賠償責任保険で保険金が支払われない主な場合に、記名被保険者、被保険自動車を運転中の者またはその父母、配偶者もしくは子、被保険者またはその父母、配偶者もしくは子の所有、使用または管理する財物の損害を挙げています。運転した人の父母・配偶者・子の塀も、これに当たります。
道路で車が他人の塀を壊しただけでも、運転者は警察に届けますか?
届けます。道路交通法の交通事故には物の損壊も入り(第67条第2項)、第72条第1項は、運転者が報告する事項に「損壊した物及びその損壊の程度」を挙げています。相談ガイド(問25)も、人身事故、物損事故どちらの場合も直ちに警察へ届け出るよう案内しています。
まとめ
- 故意又は過失によって他人の塀を壊した人は、損害を賠償する責任を負う(民法第709条)
- 自賠責保険・共済の対象は人身事故による損害だけで、塀は対象外(国土交通省)
- 道路での事故なら、ぶつけた運転者には警察官への報告の義務がある(道路交通法第72条第1項)
- 当て逃げなら、被害者も警察に届け出る(相談ガイド 問26)
- 自分の火災保険は契約内容による。自分でぶつけた自分の塀は、自分の対物賠償責任保険の対象外
塀の建て替えを考えるときは、図面や現地の写真をお送りください。ご相談は無料です。

